二十歳の手紙 自殺した生徒の七回忌に…母の元に届く(毎日新聞)

 04年に長崎市立中学で生徒指導された直後に飛び降り自殺した安達雄大君(当時14歳)の手紙が今年、母和美さん(48)に届いた。雄大君が小学3年時、当時の担任教諭が「20歳になったら届ける」と約束し、クラス全員で書いた「二十歳の手紙」だった。雄大君は生きていたら20歳。サッカー選手を目指し「ワールドカップでゆう勝してますように」とつづった文字を、和美さんは指でなぞった。

 04年3月10日、雄大君は喫煙の生徒指導を受け、校舎4階から飛び降りて死亡した。和美さんらは06年8月に「行き過ぎた生徒指導が自殺原因」として、市に損害賠償を求め提訴。長崎地裁は08年6月、請求は退けたが、雄大君の死を自殺とし、生徒指導と自殺との因果関係も認めた。

 小学3年時の担任教諭は雄大君の死亡直後に和美さん宅を訪れ、「二十歳の手紙、先に渡しましょうか」と申し出た。しかし和美さんは「雄大の手紙はちゃんと二十歳になって受け取りたい」と教諭に伝えた。その手紙が今年1月9日、和美さんの手元に届いた。

 「二本大表(日本代表)のキャプテンになってワールドカップでゆう勝してますように。なれなかったらプラモデル屋の人になってますように」

 雄大君のつたない文字と誤字に和美さんは「『日本代表』が書けないなんて情けない」。笑みと涙が入り交じった。

 和美さんたち保護者も当時、二十歳になったわが子にあてた手紙を書いており、11年前の和美さんの手紙も一緒に届いた。「二十歳の姿はあまりピンときませんがとても楽しみにしています」「自分の行きたい道を見つけてほしいと思います。何回失敗しても、お母さんは応援します」

 和美さんは「失敗しても応援すると、もっと早く言えばよかった」と声を振り絞った。

 長崎市教委が、和美さんらに伝えないまま、07年1月に「事故死」を「自殺」とする修正をひそかに県教委に報告していたことが09年に発覚。和美さんは今、自殺理由に「教師の叱責(しっせき)」を加えるよう市教委に求めている。

 3月10日は、雄大君の七回忌だった。和美さんは、雄大君の手紙を何度も読み返している。「でも二十歳の息子をどうしても想像できない。時間がたつってこういうことなんですね」【蒲原明佳】

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